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連載小説『爛熟』14

 「詩を編む、という行為・・・?」
 少女は反復、した。
 「うん。何がしか生み出そうとする、行為。ほら、詩という空間はよく宇宙に喩えられる、だろ?精神世界の宇宙。この心の中の精神という宇宙をこれでもか、これでもか、これでもかって掘り下げてみていくと、自分なりに見つかる言葉がある。そういった言葉を、ひとつずつひとつずつあやすように書き込んでゆく。そういう行為が、僕は好きではあるのだけれど・・・」
 「そうすると、評論とかは、また別の行為、とかになっちゃうんですか?」
 詩人は耳をそばだてる。少女が詩人の言葉を瞬時に咀嚼、したからだ。
 「そう、だね。評論はまた詩とは違う世界の代物、だね。評論というのはひとを刺す、という言い方をする場合があって、どちらかと言えば他者的、第三者的な発想が必要になってくる。詩を織る、という行為はそれとは明らかに違う。もっと内包的なものさ。」
 少女は想いだすかのような顔をして、
 「・・・先生が『文聖時評』に書かれていることって詩を織るっていう行為とは、またほど遠いっていう、行為なんですか?」
 「・・・うん、全くほど遠いね(笑)。・・・けど、君は『文聖時評』に僕が書いているものも読んでくれているんだ?」
 『文聖時評』とは、いわば季刊誌のようなもので、同人誌風の呈を成す同胞の者達が小さな出版社から出版している小雑誌で、こんな思春期の女性が手にするような類いのものでは無いはずなのだが。
 少女は一際、声を高める。「はい、読んでます。けど、困るのは私の町の本屋さんって東京のくせに置いてなくて、わざわざ毎月発売日には、私、新宿まで買いにいくんですよ。」
 (毎号、予約でもすれば良いのに。)少女の微笑ましさに、そんな下卑た問い返しは、この際、隅に置いてしまおう、と詩人。 
 少女が、更に何かを言おうと想いを巡らしたとき、熱した薬缶の音がけたたましく響きだした。
 そうと察して、少女「 ・・・先生」
 「ああ、いけない」
 やおら、立ち上がった彼はソワァーの角に足を絡めて転びそうに、なる。後ろ手に髪を掻く詩人。「僕は案外、いつもこう、なんだ。」その嬌態にくすっと、笑う少女。だがすぐさま見てはいけなかったものを見てしまったかのように顔を竦(すく)め、じっと笑いを堪える。
 詩人は、コーヒ-メジャーへと湯を注ぐ。
 ぽたぽたと搾り落ちてくる水滴。
 この家の外では、さらさらと白雪が舞い散る。
 交錯する、ふたつの音色。
 ・・・・・・奏でている。いや、何かが奏で始めようとしているのか?。
 
 
 
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Appendix

Literature sight-seeing『風、早暁記。』

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introduction

風友仁(かぜともひと)

Author:風友仁(かぜともひと)
 
 沖に出たらば暗いでせう、
 櫂から滴垂る水の音は
 昵懇しいものに聞こえませう、
 ――あなたの言葉の杜切れ間を。

 月は聴き耳立てるでせう、
 すこしは降りても来るでせう、
 われら接唇する時に
 月は頭上にあるでせう。

 あなたはなほも、語るでせう、
 よしないことや拗言や、
 洩らさず私は聴くでせう、
 ――けれど漕ぐ手はやめないで。
   中原中也『湖上』拠り 
*『爛熟』この書を我が畏敬のひとり、中原中也の御霊に捧ぐ。


*an information desk *
皆々様の厚きご支持、心より傷み入ります。有難うございます。

*新たなる風の舞、ここに興つ。*
*謹告*当オンライン小説サイトでは、大変申し訳ございませぬが一切のコメント・トラックバック等は諸事情に拠り、お断りさせてもらっております。どうぞご了承くださいませ。*尚、この小説に関する全ての帰属権並びに著作権は筆者、風友仁にございます。個人で愉しむ以外のコピー、それらを商用の配布等に用いたりする行為は法律で禁じられておりますので是非、お止めくださいませ。現在公開中のものにつきましては、何の予告もなく、加筆、訂正、語彙、言い回しの変更、削除等行われる場合がございますが、それらについての更新情報等は行っておりませんのであらかじめご了承下さいませ。
*今後とも『爛熟』並びに風友仁の綾織る世界観にどうぞご支持、ご声援のほどを、宜しくお願い致します。
 
  2006・1・15 心を込めて。
         風友仁

*連載小説『爛熟』に就きまして*
 この物語は、空想の物語であり、一部事実を基に脚色なされておりますが、登場する人物及び団体の名称等、ある特定の人物及び団体等を示唆、揶揄、誹謗、中傷する類いのものではありません。飽くまでも架空の物語としてお読みくださいませ。またもしや名称、団体名等が同じでも飽くまでも架空の物語でありますのでその点、どうぞお知りおき下さいませ。皆様のご理解の程、何卒宜しくお願い致します。著者・風友仁


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